平安時代末期から鎌倉時代にかけて安芸国の有力な在庁官人(国司の庁に勤務し、事務を行う役人)で、田地に関する行政機関(田所)の長官的職務にあった田所氏の館跡と伝えられ、同家に伝わる田所文書に国庁屋敷1丁と記されています。(平安時代中期頃から国司は任命されても赴任せず、留守所を置いて在庁官人と呼ばれる地方豪族にその国の政治を任せるようになっていました)
屋敷跡には現在も田所氏の子孫が居住し、鎌倉時代の府中や安芸国の田・畠などの状況を物語る貴重な史料「田所文書」を伝え、この田所文書は昭和44年(1969年)広島県重要文化財に指定されています。
田所明神社
田所文書(レプリカ) 第1巻「安芸国衙領注進状」
安芸国諸郡の郷、村、名ごとに国衙領の面積とその内訳の各種免田と輸租田を列記した鎌倉時代の注文書。
田所文書(レプリカ) 第2巻「田所沙弥譲状」
正応2年(1289年)の奥書があり、田所氏が勤めるべき諸職務の内容、府中、船越村、原郷、三田郷、温品村その他に散在する数十町歩の私有地、数十人におよぶ所従など田所氏の財産を書き上げたもの。