「ダークパターン」とは、消費者を勘違いさせ、判断を誤らせたりするようなインターネットの広告や表示に対する名称のことです。
これによって、消費者の判断力を低下させ、プライバシーを侵害したり、お金を余計に使わせるような問題が発生しています。
ダークパターンは、経済協力開発機構の中で7つに分類されています。
経済協力開発機構が実施したアンケートでは、ネットショッピングなどを利用したことがあると回答した人の約7割がダークパターンを見たことがあると回答していますので、以下に事例を紹介します。
「今だけ!」「割引終了まであと〇分!」などのカウントダウンタイマーや、在庫が少ない、需要が高いなどと表示することを「緊急性」と表現します。
真実または虚偽のカウントダウンタイマーを使って購買意欲を煽り、購入するなら早くしなければと正常な判断ができなくなります。
また、在庫が僅少で、人気がある商品だと思わせることで、心理的にすぐに買わないといけないと思い、細部まで確認をしないまま購入してしまうケースもあるようです。
時間的・量的制限を与え、商品を購入するようプレッシャーをかけており、「緊急性」があると誤認させます。
もちろん、正しく期間限定のセールをしている事業者もいますので、見分けることが困難です。
事業者にとって都合の良い行為を行うように、消費者に繰り返し要請する表示のことを「執拗な繰り返し」と表現します。
通知や位置情報の追跡機能を有効にするよう要求するだけでなく、図のように「後で通知する」「許可する」というような選択肢が表示され、「許可しない」などの拒否する選択肢がないポップアップが、時間を空けて執拗に繰り返して表示されるのが特徴です。
何度も出てくる表示が煩わしくなり、許可をしてしまう場合がありますが、それによって本来必要のない通知が来るようになったり、位置情報を提供してしまったりします。
特定の機能を利用する際に会員登録が必要だったり、利用規約に同意させたりと不必要な行動させることを「強制」と表現します。
商品を閲覧したいだけなのに会員登録が必要なネットショッピングのサイトや、メルマガに登録しないと利用できないなど、閲覧や利用に関係ないことを強制させます。
また、商品の購入などには必要のない範囲の個人情報まで開示を強制する場合もあり、意識しないうちに家族構成などを知られる場合もあるので注意が必要です。
会員登録や内容の変更は簡単にできるのに、解約や退会に手間や時間がかかることを「妨害」と表現します。
商品の申し込みや利用の契約はネットのみで24時間いつでもできるのに対し、解約は電話で、決まった時間や日時にしかできないケースもこれに該当します。
他にも、アカウントや個人情報の削除が簡単にできないように退会前に膨大なアンケートに回答させたり、購入したい商品に対して異なる条件や単位で商品を掲示することで、価格の比較を不可能にすることも、妨害になります。
例えば、定期購入であることをわかりにくくして、本来の意思決定を偽ることを「こっそり」と表現します。
「こっそり」は図のように、特別価格で購入とだけ書いてあり、定期購入であることや次回から価格が上がることは小さく書いてあるため、注意深く確認しなければ気づくことが困難です。
また、初回無料や30日間無料と表示して明確な同意を得ずにサブスクリプション契約に促したり、決済画面まで金額を表示しないというのも「こっそり」に該当します。
購入の意思決定に関する情報を隠したり、偽装したり、告知を遅らせるような表示は様々な媒体で使用されています。
インターネット通販などでは、気づかないうちに自分が購入するつもりのない商品が追加されていたりもしますので、最終の購入確認画面で注意が必要です。
販売する事業者にとって、都合の良い選択肢をデフォルトの選択肢にしていたり、大切な情報を目立たないように表示することを「インターフェース干渉」と表現します。
図のように「定期便で購入」という文字は、大きくはっきり表示しているにもかかわらず、「一つだけ購入する」というボタンは小さく表示するなど、重要な情報を視覚的に不明瞭にすることで、思わぬ契約をしてしまうことがあります。
また、最近では虚偽の定価に対して割引した値段を表示するなど、通常よりも割引率が高いかのように表示し、実際は特に安くなっていないものを「安くなっている」と視覚的に誤認させることもあるようです。
他の消費者の行動を知らせることで、意思決定に影響を与えようとする表示のことを「社会的証明」と表現します。
そうした表示がすべて悪いというわけではありませんが、中には誤解を招いたり、虚偽の「お客様の声」や「口コミ」などを掲載することで、安心感を与え、購入を促すこともあります。
また、「有名人の〇〇さんも愛用!」や「〇〇ランキング1位!」なども「社会的証明」の一つです。
たくさんの人が見て、購入しているなら・こんな有名人が利用しているなら…という心理を利用し、良いものであるかのように誤認させることもあります。
ダークパターンは明確に違法とは言い切れないものが多く、法律での取り締まりには限界があるといわれています。
そこで、自営する力を高めるために必要なことを2つのポイントにまとめました。
日本では健全な業者が多く「まさか事業者が悪いことをするわけがない」あるいは、「何かあったとき対応してもらえる」と思い込みがちですが、一握りでも悪質な事業者は存在しています。
安心だと信じ込まず、まずは購入前に何事も疑ってかかることが必要です。
また、インターネットの通販などでは、ボタンを押すとすぐに購入ができる場合が多くあります。
購入前にもう一度、商品のページを確認したり、購入に関する注意事項を確認し、騙されていないか確認しましょう。
ダークパターンでは行動経済学の知見に基づき、「人がついやってしまうこと」を利用します。
購入前に「一呼吸置く」ことで、落ち着いて商品について考え、ダークパターンから逃れることができます。
インターネットでの取り引きだと、実際に自分で見た画面であったり、最終確認画面であったりが、購入ボタンを押した瞬間に消えてしまい、事業者とのやり取りをするときに「そんな画面はない」という水掛け論が始まることもあります。
自分が購入するきっかけとなった決定的な画面や表示、最終確認画面などをスクリーンショットするように意識付けすることで、実際に自分自身に不利益が被りそうな時に証拠として使用できます。
また、自分自身の記憶違いである、という場合もありますので、そういうった誤認を防ぐためにもスクリーンショットを残しておくことが必要です。
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