74年前の8月6日午前8時15分、一発の原子爆弾が広島に投下されました。一瞬のうちに街は壊滅し、多くの尊い生命が奪われ、人々の心と体に今なお癒えることのない傷を残しました。私たちはこのような非人道的行為が二度と繰り返されてはならないという思いから、また、すべての被爆者の方々に対する責務として、核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を、全世界に向け訴え続けてまいりました。
被爆者の平均年齢が82歳を超え、被爆・戦争体験の風化が懸念される中、被爆者の声に耳を傾け、平和のバトンを次の世代へと繋げることは一層重要となっております。こうしたことから、原爆の非人道性や残酷さを伝えていくため、本年4月、広島平和記念資料館の常設展示が全面的に刷新されました。国内外から訪れた人々が被爆の実相を知り、平和の大切さ、生命の尊さを考えるきっかけとなりますことを願っております。また被爆地・広島に住む我々は「希望に満ち溢れた新しい時代を切り開いていく」という願いが込められた令和の時代において「戦争・核兵器のない平和な世界」が実現するよう、最大限の努力を払っていかなければなりません。
原爆による凄惨な被害を広島市とともに被った町である府中町におきましても、引き続き世界恒久平和に向けて、歩みを進めてまいります。原子爆弾の犠牲となられました多くの御霊のご冥福をあらためて祈念いたしますとともに、「平和」への思いを未来へ受け継いでいく小中学生の皆さん、式典へのご協力をいただいた関係団体の皆様、被爆者並びにご遺族の皆様のご健勝を心からお祈り申し上げます。