国の文化審議会は、令和2年11月20日に開催された文化審議会文化財分科会の審議・議決を経て、府中町内の「下岡田官衙遺跡(しもおかだかんがいせき)」を国史跡に指定するよう、文部科学大臣に答申しました。
今後、官報告示を経て正式に国指定史跡となる予定です。
※国指定史跡とは、我が国にとって歴史上または学術上価値が高く、継続的な保護・活用が必要な遺跡等をさし、国の文化審議会の答申を経て、文部科学大臣が指定するものです。
下岡田官衙遺跡は、古代山陽道沿いの国により設置された8世紀中ごろの瓦葺礎石建物2棟を中心とした安芸駅家(あきうまや)の可能性が高い遺跡です。
昭和30年代から本格的発掘調査を実施しており、山陽道の交通史研究においても学史的な意義の大きい、山陽道沿線における官衙の展開を知る上でも重要な遺跡です。
遺跡は、7世紀後半ごろに施設が整備され、8世紀中ごろ(奈良時代)に瓦葺礎石建物を中心とした施設となり、9世紀前半に廃絶されたことが判明しました。
発掘調査では、井戸なども検出されており、その中から木簡や文書函蓋、木製品なども出土しています。
木簡(荷札)には「高田郡」の地名や物資の名前などが記されていることや、瓦では東広島市の安芸国分寺など国が整備した施設と同じ特徴を持っていることなどから、交通の重要な所にある国の整備した施設だったことがわかっています。
※駅家は古代山陽道に三十里(16キロメートル)ごとに設置され、馬の乗り継ぎや食事・宿泊などをした施設です。